頭頸部再生研究
口腔、咽頭や喉頭などの頭頸部癌臓器は、呼吸、発声、嚥下など、ヒトが社会生活を送る上で非常に重要な機能を担います。そのため、頭頸部癌の手術や、外傷、炎症性疾患の治療で組織が一部なくなると、見た目の変形がおこるとともに機能的にも後遺症が残ってしまいます。
われわれは、これらの後遺症をできるだけ少なくし、患者様の生活の質を保てるようにしたいと考え、頭頸部臓器再生研究をはじめました。
研究内容
1 人工喉頭・人工気管の開発
京都大学再生医科学研究所との共同研究で人工気管を開発しました。動物実験を重ね、その有効性と安全性を検証し、現在ではすでに臨床応用されています。
ポリプロピレンとコラーゲンからなる人工気管(Omori, Ann Otol Rhinol Laryngol, 2008)
2 iPS細胞を用いた頭頸部組織再生
人工多能性幹細胞(iPS細胞)を利用し、線毛上皮細胞、軟骨組織、筋組織の再生に取り組んでいます。
ヒトiPS細胞から分化誘導された気道線毛上皮細胞(Okuyama, J Tissue Eng Regen Med, 2019)
3 反回神経再生
自己組織化ペプチドハイドロゲルなどを利用し、効率の良い神経再生技術の開発に取り組んでいます。
自己組織化ペプチドハイドロゲルを利用し、反回神経の効率的な再生に成功(Yoshimatsu, Laryngoscope, 2019)
4 声帯線維化機序の解明
線維芽細胞や炎症細胞に注目し、声帯の線維化プロセスの解明に取り組んでいます。
声帯損傷後のマクロファージの表現型の変化(Kaba, Laryngoscope, 2019)
頭頸部再生研究グループメンバー
大森孝一、岸本 曜、水田匡信、河合良隆、藤村真太郎、椛 慎治、吉松誠芳、児嶋圭介、大八木誠児、林 泰之、谷上由城、水野敬介、勝野達也、喜多知子、大西弘恵、北村守正、樋渡 直、山田光一郎、曽我美遼、奥山英晃
お問合せ先
岸本 曜
住所 〒606-8507 京都府京都市左京区聖護院川原町54 京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
FAX 075-751-7225