ロボット支援手術
「咽喉頭癌に対する経口的ロボット支援手術の安全性・有効性に関する多施設臨床試験」
概要
この臨床試験は、京都大学大学院医学研究科・医学部および医学部附属病院医の倫理委員会承認のもと、厚生労働科学研究として行われる研究です。したがって、厳正な管理の下に症例登録は行われます。
適格基準を満たす患者さんだけしか登録できません。
■ 適格基準(以下のすべてに当てはまる方が参加できます)
- 病理学的に咽頭癌と診断されていること (再発は除く)
- 癌の大きさが4cm以下であり、周囲の組織と癒着していないこと
- 20歳以上であること
- 本試験への参加について、ご本人から文書でご承諾頂けること
- 口が開きにくいなどの症状が無いこと
- 他に大きな病気がないこと
- 他に大きな病気がないこと
- 登録前3カ月以内に他の治験、臨床試験に参加している
- 妊娠中・授乳中でないこと
※本臨床試験の適応があるかどうかは、最終的には当院で詳しく検査を行った後に決定させていただきます。参加を希望されている場合でも、ご参加頂けない事があります。
場合によっては全身麻酔をかけて癌の状態を詳しく調べる検査を行い、試験にご参加頂けるかどうかを決定します。
※適応がないと判断された場合は、従来からの治療法を当院で行うか、あるいはご希望があれば他院(例えばご紹介元)で治療をしていただきます。
試験の流れについて
本手術のために入院した期間の費用については全額病院負担となります。但し、診療行為以外の費用(室料、食事代、病衣代、文書料など)は含まれておりません。
詳細については、外来受診時にご質問下さい。
(1) 外来受診
参加を希望される方、あるいは詳しく話を聞かれたい方は、当院がん診療部(頭頸部癌ユニット:毎週金曜日午前)を受診してください。
その際にはこれまで検査を受けていた病院からの紹介状が必要です。
(2) 検査
試験に参加頂けるかどうかを決定するために、各種の検査を行います。
(場合により全身麻酔をかけて一泊入院の検査を行います。)
(3) 治療
本試験参加の適応があり、また参加を希望される場合に経口的ロボット支援手術を行います。
全身麻酔を掛けた後に、口から手術支援ロボットのアームを挿入し、3Dの内視鏡で見ながら癌を切除します。手術後のどが腫れてきた場合、あるいは腫れることが予想された場合には安全のため気管切開を行います。のどの腫れは通常一時的ですので、腫れが引き次第気管切開の孔は閉じます。
入院期間は1~2週間の予定ですが、気管切開を行った場合は入院期間が延びることがあります。
首のリンパ節に転移がある場合、あるいは転移が疑われる場合は、一旦退院していただいた後、後日に一般的なリンパ節除去手術(頸部郭清術)を行います。また摘出した癌組織を病理の検査で調べ、必要があれば一旦退院の上、後日に放射線治療を追加することもあります。
(4) 治療後の通院・検査
治療後1年間は月に一度外来受診していただき、下記のスケジュールで検査を行います。
これらは頭頸部癌の治療後に一般に行われる通院・検査です。また再発が疑われるなど問題がある場合は、適宜検査を追加します。
- (ア) 嚥下機能(飲み込みの機能)
- ① 嚥下機能スケール(問診票)による検査
- ② 嚥下造影検査:造影剤を飲んで飲み込みの機能を調べる検査
- (イ) 音声機能検査:声の機能
- (ウ) 再発チェックに関する検査
- ① 喉頭ファイバー検査:咽頭部の再発をチェック
- ② 上部消化管内視鏡検査:食道癌や胃癌の有無をチェック
- ③ ポジトロン断層法(PET)検査:転移のチェック
- ④ 頸部CT検査あるいは頸部MRI検査:咽頭部の再発や頸部リンパ節転移の有無をチェック
- (エ) 退院後1年間は毎月診察をします
(5) 費用負担について
手術支援ロボットを用いた手術のために入院した期間の費用については全額病院負担となります。
但し、診療行為以外の費用(室料、食事代、病衣代、文書料など)は含まれておりません。
また、後日に首のリンパ節除去手術(頸部郭清術)や放射線治療を行う場合の入院費用や、手術前後の通院・外来検査にかかる費用については保険診療によりお支払いいただく必要があります。
(6) 研究への参加について
この研究への協力の同意はあなたの自由意思で決めてください。
一旦研究に同意した場合でも、あなたが不利益を受けることなく、術前であっても術後であってもいつでも同意を取り消すことができます。