喉頭機能外科 : IV 発声障害検査診断法 : B 嗄声要因の診断法 : 1 声門閉鎖不全
: B 嗄声要因の診断法
: 2 声帯物性


IV-B-1 声門閉鎖不全

Ag0 ではなく Agmin > 0 かどうか, つまり声帯振動中, 声門が完全に閉じきる瞬間があるのかどうかの診断である. 診断法として

  1. 間接喉頭鏡
  2. ストロボスコープ (又は高速度映画)
  3. 平均呼気流率, 最長持続発声時間
  4. 声の能率 AC/DC
  5. 瞬時最低呼気流率 (体積速度) U min
  6. 声の聴覚印象
  7. 音声分析
  8. 甲状軟骨翼圧迫テスト

殆んどの場合, 間接喉頭鏡のみで声門閉鎖不全の有無は判るが, より詳しくストロボスコープで診てみると, 完全閉鎖しないと思っていたのが, 短時ではあるが完全閉鎖しているのが判る事もある.

熱線流量計からも種々の有用な情報が得られる. 出力をブラウン管で見て, その曲線の最低値が0ラインよりはるかに上 (例えば 100/sec ラインより上) にあれば声門閉鎖不全は間違いない. 「声の能率が 0.5 より大か小か」もかなり参考になり, 臨床例で 0.5 以下は皆, 声門閉鎖不全が明らかであった. 最長持続発声時間の短縮, 平均呼気流率の著明増大も声門閉鎖不全の可能性を示す所見である.

音声では気息性〜無力性で楽音成分がない様な例は, 大声門間隙が疑われる.

甲状軟骨翼圧迫テストで音声が改善すれば嗄声の主因は声門閉鎖不全とみなして良いが, あまり改善しない場合には他の要因も考慮せねばならぬ (例えば喉頭外傷後の声帯麻痺).

Agmin の測定にはストロボ光源による喉頭の写真 (又は映画) が今後必要である.


喉頭機能外科 : IV 発声障害検査診断法 : B 嗄声要因の診断法 : 1 声門閉鎖不全
: B 嗄声要因の診断法
: 2 声帯物性


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Last update: March 12, 1999