喉頭機能外科 : IV 発声障害検査診断法 : B 嗄声要因の診断法 : 2 声帯物性
← : 1 声門閉鎖不全
→ : 3 左右声帯の不均衡
粘膜移動性, 声帯緊張度などについてのべる.
粘膜移動性はストロボスコープにより声帯辺縁の粘膜波動を観察するのが目下の所, 最適である. 勿論, 病歴や声帯の外観 (瘢痕の有無など) は重要な参考所見である.
声帯過緊張は高い声 (裏声), 時に気息性〜無力性因子を含む嗄声を特徴とし, ストロボスコープ上, 声帯振動振巾が小さい事, 辺縁移動を認めない事が参考となる. 発声中, 甲状軟骨正中中央部を脊側に圧迫し声が低くなるかどうかまたは前筋麻酔で声の変化を観る. 圧迫とか麻酔で声が変化しない場合は声帯過緊張が声帯自身 (例えば外傷性瘢痕など) にあり手術しても予後はあまり良くない. 声が外的な力で変化すれば手術適応となる.
声帯過弛緩はあまり起らぬ事だが, 両側前筋麻痺, とくに脳血管障害にもとづく発声障害の際見られる事がある. 低く, R 型, 時にA 型をふくむ声で, 声門フライ (glottal fry) の様な声の事もある. 流量計出力で2段波, 3段波が見られる事も参考になる. 声門閉鎖不全が軽度な割に呼気流率が多い場合には声帯過弛緩も考えねばならぬ. 最も有力な診断法は甲状軟骨と輪状軟骨を両手指で近寄せ, 音声の変化をみる事であり, 改善すれば, 過弛緩要素を考える.
声門過閉鎖声帯過緊張と合併する事も多い. 圧迫起声の様なR 型嗄声,声帯振動では長い閉鎖期, 小振巾, 不規則性を特徴とする. 呼気流率が異常に少なければ声門過閉鎖を疑う. 前頸筋群が発声時目立つ事もある. 仮声帯に被われ声帯の見えぬ事もある.
喉頭機能外科 : IV 発声障害検査診断法 : B 嗄声要因の診断法 : 2 声帯物性
← : 1 声門閉鎖不全
→ : 3 左右声帯の不均衡