喉頭機能外科 : V 喉頭機能外科に必要な解剖 : A 喉頭とくに軟骨の計測 : 7 喉頭の非対称性
← : V-A-6 輪状披裂関節と披裂軟骨
→ : V-B 披裂軟骨運動の筋シュミレーションによる解析
喉頭の非対称性は予想外に頻度, 程度ともに高い. 特に男で著しい. 例えば横径 h (図103) が一つの喉頭で左 45mm, 右 39mm と 6mm の差がある事もある. 女ではこの左右差は最高 3mm であった. これら非対杯甲状軟骨でも, 声帯長は左右差殆んどない. 甲状軟骨非対称は化骨化程度が関連している様に思われる. 個人差の大きい事, 非対称性が予想外に大きい事などからして, 喉頭外枠を計測し甲状軟骨より内側の構造及びその位置を推定する事には限度のある事も忘れてはならぬ事であろう. 実際の手術に慣れるまでは, たえず摘出喉頭を手術時の状態を想定し観察するのが一番手術上達に実効がある. この目的で摘出喉頭で鋳型を作り, 実物大模型を作製した (図110, 111).*
*脚注 現在市販されている. (京都科学標本 (075) 211-3501)
声帯前連合の位置は (図102) | 甲状軟骨切痕上縁と甲状軟骨下線の中点よりやゝ上方 (男1mm, 女0.5mm) の事が多い. 個人差大きい (男±2.5mm, 女±1.5 mm) |
声帯レベルは図104 | 図103の i 前連合の点より甲状軟骨下縁水平線 (本文参照) に平行に走る線. |
筋突起のレベルは図104, 107 | 声帯レベルと同じ |
声帯突起は | 筋突起より内方, 男で 12〜17mm, 女で10〜 15mm の所にある. (ほゞ 1〜1.5cm) |
輪状披裂関節は | ほゞ円柱状 |
その運動は | 主に
|
輪状軟骨の輪状披裂関節面 (下縁は) | 輪状甲状関節面上縁から 1cm 弱 (男平均 8.8mm, 女平均 7.3mm) の所にある. |
手術解剖の理解には摘出喉頭, 喉頭模型を何度も観察, さわってみて立体的イメージをつかむのが最も良い.
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