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耳鼻咽喉科・頭頸部外科医になろう

なぜ耳鼻咽喉科・頭頸部外科をえらぶのか

医学生の方も含め、一般の方々の耳鼻咽喉科・頭頸部外科への印象はどのようなものでしょうか。

「子供の頃、耳が痛いので診てもらった」、「扁桃腺の手術をしてもらった」、「花粉症で困った時に病院で薬をもらった」、臨床実習では、「顕微鏡下の細か い手術をしている」、「顔面の深部や頭蓋底の手術を24時間以上かって手術をしている」、「耳鼻科の手術に、消化器外科、胸部外科、脳外科、形成外科の人 が入って一緒に手術をしている」、などその人によって全く異なった印象を持っているのではないでしょうか。でもこれら全てが耳鼻咽喉科・頭頸部外科をあら わしています。

つまり耳鼻科で扱う疾患は多岐にわたるという ことです。比較的小さな処置を行うのも耳鼻科であり、長時間にわたる手術を行うのも耳鼻科です。内科的な疾患(例えばめまい、アレルギー性鼻炎など)を扱 い、外科的な手技でもほとんどが顕微鏡下の手術である耳科手術などの感覚器外科から、上顎癌、喉頭癌などの頭頸部腫瘍を扱う場合もあります。

このように扱う疾患、手技が多岐にわたるため、個々の興味、能力、体力などに応じて、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の中で、自分にふさわしい分野 (サブスペシャリティー)を見つけることができます。このことは、色々な科に入局してからその人の考えで、耳鼻咽喉科・頭頸部外科に専攻を変える人はいますが、耳鼻咽喉科・頭頸部外科から他の科に移った人はほとんどいないことからも良く分かります。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科を選択して後悔する人はまずありません。

今後の耳鼻咽喉科・頭頸部外科はどのような方向に行くのか

21世紀に入り医療の質・内容は明らかに変わっています。勿論不治の病を治すことは重要で、現在耳鼻咽喉科・頭頸部外科で行っている、特に悪性腫瘍に対する手術は改良が加えられることがあってもなくなることは当分ないでしょう。

しかし、これからは特に高齢化社会を迎え、病気を治すだけでなく、QOLを充実させる医療に特に重点が置かれることになります。外科系の中で耳鼻咽喉科・頭頸部外科の特徴は他人から見える部位の手術をすることです。手術で病気を治すだけでなく、如何に見た目にきれいに治し、社会への復帰を妨げないようにしなくてはいけません。

21世紀は感覚器の世紀とも言われています。ほとんどの人は年を取ると感覚器の障害が出てきます。「聞こえない」「臭いがしない」「味がしない」それに「平衡感覚」など加えると、耳鼻咽喉科・頭頸部外科は感覚器のほとんどを扱うことになりま す。これまでは一度障害を受けると治療が困難であると考えられてきた感覚器障害を元に戻すことが出来れば、多くの人のQOLの向上に役立ち、我々はこのよ うな医療を目指したいと思います。

京都大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室の特徴は

一番大きな特徴は若手医師のための臨床研修の制度が充実していることです。これは日本の大学の中では一番であると自負しています。これは勿論大学の中でも そうですが、非常に充実した関連病院とそこで若手医師を教育する指導者がいることによります。大学では特に手術困難な方や他の病院で手術を断られたような 方が集まってくる傾向はありますが、関連病院とローテートすることにより一般の耳鼻科医が習得しなくてはいけない手技、手術に関し、漏れなく習得することができます。

京都大学では特に研修医、修練医に対する教育に重点をおいています。耳鼻咽喉科・頭頸部外科はやはり外科の分野ですので、外科的手技、手術手技の習得は最重要課題になります。以前ですとこのような手技の向上は患者さんの協力のもとに行ってきましたが、最近では医療事故などの問題もありなかなか難しい面が多 い状況です。京都大学では、事故を起こすことなく、かつ若手の医師の手技の向上のため、色々な手術手技シミュレーション設備を整えています(一例をHPの 「側頭骨手術解剖実習」の項に載せていますので参照して下さい)。

京都大学の特徴として研究にも力を入れています。研修医、修練医の人には臨床を行うのでいっぱいで、研究はまだ先のことと思っていると思いますが、何らかの形で研究にも携わることは大切です。きっかけは 「単に研究をしてみたい」 でもいいですし、「現在の臨床の限界を打破するための基礎研究に従事したい」、でもいいと思います。ただ、求められるのは、「どんな基礎的な研究を行っても、いつかは臨床に役に立つもの、また人のものまねでない、オリジナリティーのある研究をする」 ということです。研究課題について、一部はこのHPに掲載していますので、参照してください。

京都大学耳鼻咽喉科科・頭頸部外科教室には毎年3~4名の大学院生、数名の研究生、留学生が入り、医学部の学生も参加して日夜研究に励んでいます。また、毎年数名の医師が海外に留学し、海外からも著明な研究者が絶えず我々の教室を訪れます。是非若い諸君にもこの息吹に触れてほしいと思います。

真摯に、でも余裕をもって

現在日本では深刻な医師不足が叫ばれています。しかし、世界各国と比べると日本の医師の数は必ずしも少なくはなく、むしろ多いくらいです。ただ、ある特定 の科、特定の地域に医師が集中していることが問題です。また、開業医の数が多く、医師の集中する科は、一般にはこれから開業することは困難な状態になって います。

一方、耳鼻咽喉科医はまだ不足しており、病院勤務だけでなく、将来開業することも十分可能です。また他の外科系と異なり、比較的小手術も数多くあるため、 開業してから 「日帰り手術」 などを行う耳鼻咽喉科医も多く存在します。このことは単に毎日の診療だけでなく、アカデミックなモチベーションを持ち続けるのに大切なことだと思います。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科だけでなく、どの分野でも研修期間は学ぶことばかりですが、必ずしも毎日拘束されているわけではありません。十分自分の時間を楽しむ余裕はあります。教室員を含め、耳鼻咽喉科医には多彩な趣味を持つ人が多く見られます。仕事は大切ですが、是非余裕を持って、自分自身の時間を充実させてください。

女性の方の入局

現在の日本の医師の環境は必ずしも女性に対して配慮が行き届いているとはいえない現状です。耳鼻咽喉科・頭頸部外科は長時間にわたる手術もあれば、むしろ 女性の得意な顕微鏡下、内視鏡下の手術など分野が多彩であり、自分にあった分野を選ぶことが可能です。また、将来開業することも可能です。

結婚、子育ての間はできるだけそれを考慮したプログラムを組むよう心がけています。現実に子育てをしながら病院勤務、大学院入学、海外留学をしている女性 の医師が耳鼻咽喉科・頭頸部外科には何人もいます。科によっては優秀な女性の医師がその環境のため医師をやめざるを得ない状態が多く見られます。耳鼻咽喉 科・頭頸部外科ではこのようなことのないように配慮しています。

多くの女性の方の入局を歓迎します。

お問い合わせ


医局長 山本典生

TEL 075-751-3346
FAX 075-751-7225
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