人工気管を用いた医師主導治験のご紹介
概要: 参加登録は終了しました。
この臨床試験は、京都大学大学院医学研究科・医学部および医学部附属病院の倫理委員会承認のもとに行われる研究です。したがって、厳正な管理の下に症例登録は行われます。
本院では2017年3月より、人工気管を用いた気管再建(きかんさいけん)に関する臨床試験(りんしょうしけん)(治験)を実施しています。この治験は、開発中の医療機器(いりょうきき)の候補(人工気管(じんこうきかん))を用いて、気管欠損部(きかんけっそんぶ)の再建を図るものです
気管欠損とは
気管は呼吸(こきゅう)だけでなく、発声(はっせい)・嚥下(えんげ)や気道免疫(きどうめんえき)に関わり、生命及びQOL(Quality of Life:生活の質)の維持に重要な臓器です。しかしながら、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)や炎症性疾患の治療に伴い切除を余儀なくされること、もしくはのどの外傷により気管欠損が生じることがあります。 小さな欠損であれば手術等により閉鎖が可能です。しかし大きな欠損の場合、閉鎖が非常に困難なことがあります。閉鎖しきれずに孔が残ってしまうと、整容的(見た目)にも問題となりますし、声が出せない、お風呂につかれない、いきめないなどの問題が生じます。
通常、大きな欠損に対しては、体の他の部位の組織(耳や鼻の軟骨(なんこつ)、胸の皮弁(ひべん)など)を用いて閉鎖を試みますが、複数回の手術が必要になり、心身の負担も非常に大きなものです。また、そのような侵襲的(しんしゅうてき)な手術を行っても閉鎖しきれない場合もあります。
治験の方法について
今回の治験では、患者さんの気管欠損部位に人工気管を埋め込み、安全性(あんぜんせい)(副作用などが生じないか)と有効性(ゆうこうせい)(再建気管が気道として問題なく働くか)を調べます。
治験の対象となるのは他の方法では閉鎖が難しい気管欠損がある患者さん、及び頸部の悪性腫瘍の手術に伴い大きな気管欠損が生じることが予想される患者さんです。
使用する人工気管はポリプロピレンとコラーゲンから成りますが、いずれも他の医療機器の素材として、長年用いられているものです。本治験ではこの人工気管を気管欠損部の大きさに合わせてサイズ調整した上で埋め込みます。術後20週まで、定期的に検査、診察等を行います。
参加募集期間
参加登録は終了しました。
■ 治験に参加できる基準
【参加できる方】
以下のすべてに当てはまる方が参加できます
- 同意取得時の年齢が20歳以上75歳未満であり、自らの意思で治験参加に同意される方
- 治験で定められたスケジュール通りに京大病院に通院・入院が可能な方
- 下記(ア)または(イ)のいずれかを満たす方
- (ア) これまでの治療でも気管欠損が閉鎖できず残存している
- (イ) 頸部の悪性腫瘍の手術を予定しており、大きな気管欠損が生じると予想される
【参加できない方】
以下のどれか1つでも当てはまる方は参加できません
- 心臓、血液、肝臓、腎臓等に重篤な合併症をお持ちの方
- ケロイド体質の方
- 頸部へ放射線照射を受けたことのある方
- 気管欠損に対し他の処置での治療が適切と考えられる方
- ブタ由来コラーゲンやポリプロピレンにアレルギーの既往がある方
- 12週間以内に他の治験に参加した方
- 妊娠中、授乳中、または本治験期間中に妊娠を希望している女性
※この他にもいくつかの基準があり、ご参加いただけるかどうかは検査や診察の結果により治験担当医師が判断します。また、参加基準を満たしていても患者さんの状態を考慮し、治験担当医師の判断により治験に参加いただけない場合がありますこともご了承ください。
実施医療機関
この医師主導治験は、日本医療研究開発機構医工連携事業化推進事業の一環として京都大学医学部附属病院、大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院で実施いたします。
本治験にご関心のある方は
本治験に関心がある、また本治験への参加をご希望される場合は、本情報を基にかかりつけ医にご相談の上、京都大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科人工気管治験外来を受診してください。
お問い合わせ先
京都大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
人工気管治験外来:木曜日
受付時間:午前8時30分~午前11時
注意事項・連絡先
この研究への協力の同意はあなたの自由意思で決めてください。
一旦研究に同意した場合でも、あなたが不利益を受けることなく、術前であっても術後であってもいつでも同意を取り消すことができます。
治験責任医師:京都大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
教授 大森孝一
電話番号(外来3階受付):075-751-3714(平日:9時~16時)
臨床研究総合センター治験管理部
電話番号:075-751-4389(平日:8時30分〜17時15分)