喉頭機能外科 : V 喉頭機能外科に必要な解剖 : A 喉頭とくに軟骨の計測 : 5 披裂軟骨筋突起
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喉頭機能外科の重要な目的の一つは声帯の内転, 外転または運動化にある. 何れにしてもその起点は筋突起にあり, 筋突起の位置を種々な条件下で正確に把握しておく必要がある. そこで図105の如く筋突起の位置を甲状軟骨後縁より (v) 同前面より ( w 及び w′ )の距離を測定した. (詳細は平本論文参照)
手術時の状態では当然, 甲状軟骨は鈎で一方に回転牽引されるので, これらの距離関係は大巾に変化する事は当然である. 但し筋突起のレベル (甲状軟骨への投影レベル) は甲状軟骨の回転によってもあまり変化しない筈である. 図107に示す如く筋突起のレベルはほゞ声帯外転位での声帯レベルと考えて良い.
輪状甲状関節上縁と輪状披裂関節下縁との距離は男平均 8.8, 最大 11.5, 最小 6.0, 不備分散 1.3, 女平均 7.3, 最大 11.0, 最小 5.0, 不偏分散 2.3 であった. この距離は実際手術を行う際, 輪状甲状関節から筋突起を探る事があるので一つの指標として重要な意味をもつ. 最後に重要なポイントは筋突起と梨状窩との関係である.
図108に示す如く梨状窩の底面は筋突起よりかなり低い位置にある. 甲状軟骨翼より筋突起に最短距離で達せんとすれば梨状窩内に入ってしまう. 梨状窩を被う粘膜を下から上へと慎重に飜転挙上してやらねばならない.
筋突起へのアプローチについては手術の項で詳述する.
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