喉頭機能外科 : V 喉頭機能外科に必要な解剖 : B 披裂軟骨運動の筋シミュレーションによる解析 : 1 筋突起を側筋方向に牽引した場合の声帯突起の変位
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図112は上記条件の声帯突起の変位を XY 面 (水平面) に投影したものである. つまり上から垂直に見た場合の変位と考えればよい. 横軸は正中線からの距離, 縦軸は前連合よりの距離を示す. Pca (後筋) の収縮状態別に示してある. グラフ内の数字 (0, 10, 20, 30) は各々輪状甲状軟骨間を近づける様働いている牽引力を示す.
この図で判る事は, (1) 側筋力を増していった場合, 声帯突起の運動軌跡は弧状曲線を画くのではなく直線的であるという事である.
この事からも声帯は外転位で最も長く内転位で短くなる事が理解される. (2) 後筋々力がある程度以上 (20gr 以上) あるとかなり側筋々力を増しても (最高 60gr), 声帯は正中線に達しない. つまり声門の完全閉鎖はできなくなる.
図113は声帯突起の動きを ZY 面に投影したものつまり前後方向から見たものである. この図は側筋収縮によって起こる声帯突起の運動がかなり垂直成分をもっている事, 換言すれば側筋のみの収縮によって声帯が内転した場合には特に, 声帯突起の尾方移動 (depression) が著明な事を示す.
図114は側筋力何 gr ぐらいで声帯突転が正中線に達するか, つまり声門完全閉鎖が得られるかを示したものである. 後筋力 0 ならば 30〜40gr 以上を要し後筋力 20gr ともなると 60gr でもまだ声門は閉じない事を示す.
喉頭機能外科 : V 喉頭機能外科に必要な解剖 : B 披裂軟骨運動の筋シミュレーションによる解析 : 1 筋突起を側筋方向に牽引した場合の声帯突起の変位
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