喉頭機能外科 : VI 喉頭の機能外科 : 7 麻痺声帯再運動化手術
← : VI-6 複合型
→ : 実験18 輪状甲状筋転置術による声帯再運動化
麻痺声帯の再運動化は耳鼻科医長年の夢であり, 多くの研究努力がなされて来た. にも拘らず, 実際手術により再運動化に成功した臨床例はわずかで Mielke, Berendes らの報告をみるにすぎない.
神経縫合による人声帯再運動化が殆んど不可能に近い理由は多々あげられよう. その最大原因は恐らく, 反回神経内に声帯の内転, 外転と全く相反する作用を支配する神経線推が混在し, しかもその構成は糸を捩った如く, 神経線維のマップが全く不規則な事にあるのではなかろうか.
筆者にとっては神経縫合による声帯運動化への道は極めて遠いものに思われる. より現実的な方法として最近水越, 竹之内, 松井らは前筋の筋神経弁の移植による声帯運動化を動物実験的に成功させている.
我々は前筋の一部を切りはなし披裂軟骨衝突起に接続する輪状甲状筋転置術 (cricothyroid muscle switch or transposition) を実験的に試み, また臨床的にも一例において試みた.
喉頭機能外科 : VI 喉頭の機能外科 : 7 麻痺声帯再運動化手術
← : VI-6 複合型
→ : 実験18 輪状甲状筋転置術による声帯再運動化