嚥下
エビデンスに基づいた病態特化型嚥下訓練プログラムの開発
日本医療研究開発機構(AMED)の委託事業として、嚥下訓練法に対するエビデンス構築研究を行っている。
文献的検討によると、現在臨床で行われている嚥下訓練法のうち、RCTやMeta-analysisで有効性が示されているものは少なく、ほとんどがケースコントロールスタディや経験則に基づいて行われているものであった。どのような訓練法にエビデンスの創出が求められているかを知るため、初段階としてアンケートによる実地調査を行った。嚥下リハビリテーションを行っている全国約3000の施設にアンケートを送付し、4割の約1200施設から回答を得ることができた。
現場での施行頻度が高いにもかかわらずエビデンスの低い訓練法としては、舌抵抗訓練、ブローイング訓練、氷を用いた訓練や、頸部可動域訓練、開口訓練、口唇閉鎖訓練などの基礎的な訓練などがあった。
設備があれば施行したい訓練法としては、電気刺激療法、バルーン法、PAP/PLPを用いた訓練が上位に挙げられるなど、興味深い結果が得られた。つまり、これらの訓練法は治療効果が高いと考えられている一方で、実際に施行されている頻度が低く、手技に関する講習や医師の協力、設備の充実が切望されているのであろうと考察した。一方、呼吸訓練は摂食嚥下リハビリテーションを行う上で近年重要視されているが、施行している施設は2割にも満たなかった。その他、言語聴覚士のマンパワー不足や診療報酬請求に必要な検査設備の不足などの問題点も浮かび上がってきた。