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音声外来

音声外来では音声障害をきたす疾患に対する診療をおこなっています。取り扱う病変は多岐にわたりますが、各々の病態に応じ、音声外科医と言語聴覚士がチームで取り組んでいます。

声帯ポリープ、声帯結節、ポリープ様声帯、声帯のう胞、肥厚性声帯炎

声帯ポリープや声帯結節は職業的音声使用者、たとえば歌手、役者、教師、アナウンサー、インストラクターなどに多く見られます。最近ではカラオケ愛好者にも多く認められ、声の乱用・誤用が大きな原因のひとつです。また、ポリープ様声帯は喫煙との関与が強いことが知られております。

これらの疾患に対しては適応に応じ音声治療を行うとともに、直達鏡下の喉頭微細手術を行います。手術は全身麻酔を要しますが短時間ですみ、当科では日帰り手術もしくは1日から数日の入院で行っています。ただし、術後3日から1週間は発声を控えていただく必要があります。

この手術では正常組織にダメージを残さないことが肝要であり、当科ではマイクロフラップ手術を行うことにより、その正常組織の温存をこころがけています。心臓や肺、頸椎の病気など、全身麻酔の危険性が高い場合や全身麻酔を希望されない方には、局所麻酔下の手術も可能です。


声帯麻痺

声帯麻痺は、声帯の運動を司る神経の障害によっておこり、声がれや誤嚥、呼吸困難をきたす疾患です。その原因に肺がんや甲状腺癌、食道癌などの悪性疾患が潜んでいる場合があり注意を要します。

治療は声帯にコラーゲンや脂肪を注入する方法や、頸部に小さな切開をおいて声帯を軟骨の外から移動させ声をよくする手術があります。コラーゲンや脂肪は効果が長続きしないので、当科では手術を基本に行っています。入院期間は通常、一週間程度で済みます。


(内転型)痙攣性発声障害

痙攣性発声障害は、声が途切れ途切れになる病気で、最初は何が悪いのかわからず困惑するひとが多くみられます。わが国におけるこの病気に対する認識は十分とはいえず、一見すると声帯に異常を認めないので、原因がわからず放置されるケースがしばしば見受けられます。当科ではこれを正しく診断し、適切な治療を積極的におこなっています。

この病気の実態は声帯におこるジストニアと呼ばれる神経筋疾患で、難治性の病気です。これに対する治療としてボツリヌス毒素の声帯注入とチタンブリッジを用いた喉頭形成手術があります。当科ではボツリヌス毒素施注資格保有者および、チタンブリッジ実施医認定者がそれぞれ3名おり、診療にあたっています。


機能的発声障害

上記のような器質的疾患や神経からくる疾患のほかに、機能的な発声障害もあります。代表的なものが声変わり障害であり、思春期をすぎても声が低くならず、 ひっくり返ったりするものです。ほとんどは男性であり、成長過程の不均衡が原因です。治療は音声治療が主体になりますが、難治性の場合は喉頭形成術を行います。。

ほかに、心因性の発声障害や性同一性障害などがあります。性同一性障害のかたで、声を高くしたい男性、逆に声を低くしたい女性に対しては声の高さや質を手術的に変えることが可能です。


担当医師大森、末廣、岸本、河合、藤村


言語聴覚士近藤、原田