喉頭機能外科 : VI 喉頭の機能外科 : 実験16 甲状軟骨縦帯状切除 (甲状軟骨形成術 III 型) の音声に及ぼす影響
: 実験 15 声帯過緊張に関して
: VI-4-A 変声障害 (高すぎる声)


実験 16 甲状軟骨縦帯状切除 (甲状軟骨形成術 III 型) の音声に及ぼす影響

実験目的

  1. 甲状軟骨縦トリミング (図153の3) の声の高さに及ぼす影響を知る事
  2. 片側トリミングで嗄声, 2重音声が起こらないかどうか.

実験方法

人摘出喉頭, 犬摘出喉頭, を用い実験2に準じて人為発声を行なわしめ, 甲状軟骨翼トリミングを漸次追加, 声の高さの変化を測定した.

実験結果

実験結果を図156, 157, 158, に示す. 甲状軟骨翼が前後に短縮されるに従い, 声の高さが, 低くなる状態が判る. 但し, 喉頭の大きさ, 声帯緊張度が個々の例により異なるので何 mm 短縮したから何ヘルツまたは何セミートン声が低くなるという様な予想を立てる事は困難である. 図156, 157は犬, 158は人 (女) 喉頭でのデーターで人の方が変化が少い傾向を認める.

始め一側甲状軟骨短縮を 6mm まで行ない, 次いで反対側短縮を行なった (図156).一側のみの短縮では, かなり声帯長, 緊張度に左右不均等が見られ, 又は予想されるが,何れの場合にも嗄声, 二重音声などは起こらなかった. この際の声帯振動所見は既述の声帯緊張不均衡時の声帯振動パターンと全く同一であり, 緊張側の声帯が先に振動し始め,弛緩側声帯が来るのを正中より弛緩側寄りで待っている形である. 早い者は遅い者が到着するのを待ってスタートするわけで, ペースは遅い者, すなわち弛緩側が決定する事になる. この弛緩側声帯が主に声の高さの決定に関与するという所見は電子計算機によるシミュレーションによっても示された所である (38頁).

「実験6 声帯緊張不均衡時声帯振動の計算機シミュレーション」参照

臨床症例

→VI-4-A 変声障害→VI-4-B 過緊張性音声障害


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: VI-4-A 変声障害 (高すぎる声)


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Last update: March 12, 1999