menu

甲状腺外来

甲状腺外来では主に甲状腺腫瘍(癌および良性腫瘍)、バセドウ病、橋本病(甲状腺機能低下症)、副甲状腺機能亢進症に対する治療を行っています。

内視鏡下甲状腺・副甲状腺手術

一般的に、甲状腺や副甲状腺に対する手術を行う場合、前頸部下方に6-10cm程度(頸部郭清術を行う場合はそれ以上)の傷(①)ができます。時間がたてば傷は目立ちにくくはなりますが見えるところに残ります。

適応は限られますが、当科では内視鏡下に甲状腺・副甲状腺を摘出する手術も行っています。手術方法はいろいろあるのですが、当科では鎖骨下外側に2.5cmの切開(②)を行い、そこから手術を行っており、頸部には内視鏡を挿入するための5mmの傷しかできません。内視鏡下手術を希望される方はご相談ください。

〈適応〉
 ●甲状腺良性腫瘍(6cm以下)、バセドウ病(甲状腺腫大の軽微なもの)、副甲状腺腺腫
 ●甲状腺癌(T1-2N0-1a)
  >大きさが4cm未満で、周囲に浸潤がない
  >外側頸部にリンパ節転移を認めないもの


1)甲状腺腫瘍

まず、外来にて超音波検査、針生検(細胞診検査)を行います。これらによって良悪性の判断を行い、方針を決定します。

  • 甲状腺癌

>手術
甲状腺は気管・喉頭・食道・総頸動脈など周囲に重要な組織があり、大きくなるとそれらの組織に浸潤したり、縦隔(左右の肺の間)のリンパ節に転移をきたしたりするような進行癌でも積極的に手術を行っています。一般的に甲状腺専門病院ではこのような進行癌の手術を行っていません。癌が喉頭にまで進行している場合は喉頭を摘出する(自分の声が出せなくなる)病院が多いのですが、当科では可能な限り音声機能を温存する(声を残す)手術を行っています。 ただ、甲状腺癌の中でも未分化癌は異なります。未分化癌は長年にわたって存在していた乳頭癌や濾胞癌の性質が変わり、未分化癌になるといわれています。急速に大きくなるため、病院を受診されたときには甲状腺周囲の組織へ広範に広がっていて治療できないことも多いのですが、根治的(治ることを目指した)治療が可能と判断した場合は手術・放射線治療・抗癌剤治療を中心とした集学的治療を行っています。

>放射性ヨウ素内用療法
未分化癌・髄様癌以外の甲状腺進行癌や肺・骨などへの遠隔転移をきたしている場合はまず甲状腺を全摘出し、術後に放射性ヨウ素内用療法を行っています。京都・滋賀・奈良において放射性用ヨウ素内用療法ができる施設は当院のみであり、多くの患者さんを受け入れています。

>分子標的治療
数年前までは甲状腺癌に対して効果のある薬剤はなかったのですが、現在は放射性ヨウ素内用療法で効果がなかった場合でも、ネクサバール・レンビマ・カプレルサなどの分子標的薬での治療が可能で、当科でも積極的に行っています。

  • 甲状腺腫、腺腫様甲状腺腫

腫瘤が大きくて整容的に目立つ良性腫瘍の方や癌との鑑別が難しい場合などに腫瘍の摘出を行っています。


2)バセドウ病

バセドウ病は主に糖内栄養科にて内服治療を行っています。副作用で抗甲状腺剤が使えずかつ放射性ヨウ素内用治療を希望されない方や、妊娠中に副作用で抗甲状腺剤が使えなくなった方、甲状腺癌などの腫瘍を合併した方など、手術が必要な方は糖内栄養科から紹介され、手術を行っています。 手術では再発しないように全摘術を行っています。そのため、術後には甲状腺ホルモン剤の内服が必要となります。

甲状腺の腫大が軽微な場合、内視鏡下での手術を行っています。


3)副甲状腺機能亢進症

副甲状腺の異常によって、副甲状腺ホルモンが過剰に分泌 ➡ 骨からカルシウムが血液中に溶けだす ➡ 血液中のカルシウム値が高くなる ➡ カルシウムが尿中に多量に排泄。それにより、骨が弱くなって骨折しやすくなったり、尿路結石(腎結石)ができたり、高カルシウム血症のために頭がボーッとしたりうつ状態になったりと多彩な症状を示します。

  • 腺腫
    術式: 腫大した副甲状腺を摘出
    病態: 4つの副甲状腺のうち、普通は1つの腺のみが腫大します。内視鏡下での手術も可能です。
  • 過形成
    術式: 副甲状腺全摘(通常は4腺のためこれらを全部摘出)し、一部を自家移植(自分の体内、多くは腕の皮下)します。
    病態:4つの腺がいずれも腫大します。ときに家族性に発生し脳下垂体、膵臓、甲状腺などの他の臓器も異常を伴うことがあります。
  • 癌(疑い)
    術式: 周囲組織(甲状腺の一部、リンパ節など)を含めて切除
    病態: 癌の場合、普通は1腺のみが腫大し、周りに浸潤したり、転移したりすることもあります。

 

担当医師末廣、岸本、濱口、児嶋、本多